Security and Trust are Priceless

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2022第1回 JAIST合格体験記

はじめに

2022年度 第一回 JAIST院試(修士課程)を受け、合格したのでこれから受験される方々の参考の為に合格に至るまでの過程を残しておこうと思います。

まず、自分の状況について説明します。

  • 大学:国立大学情報工学系
  • 研究室:セキュリティ系
  • 卒業研究分野:ネットワークセキュリティ
  • 技術力:極めて低い
  • 出願先:NAIST, JAISTの併願
  • 添削, プレゼン発表練習:B4の研究室の先生方(2人)にお願い

過去セキュリティ関係でやったことはセキュリティミニキャンプオンライン2021に参加する、大学の情報セキュリティの授業を受ける程度でCTFなどもしていなかったので特にネットワークやセキュリティに関して知識や技術がある状態ではありませんでした。ネットワークセキュリティ分野の研究がしたかったので、出願先は下のサイトで目星を付けて探していきました。 github.com 旧帝などは入試に学科試験がありその勉強がめんどくさい、過去問などに関して内部生と差がありフェアな競争ができないだろう、ネットワークセキュリティに関してはそこまで行きたいと思える研究室が無いといった等の理由で、旧帝など学部が存在する大学は候補からは外しました。NAIST, JAISTは学部が存在せず修士課程からの大学院大学なので学部からの内部生が存在せず、入試方法もNAISTはGPA?(書類審査), TOEIC, 数学, 小論文+面接で、JAISTは小論文+面接だけと学科試験のように興味のないことを勉強する必要がないのがとても魅力的でした。反面、小論文の完成度について、自分は研究室の先生方、それも2人の全面協力の元で添削、指導して頂けましたが(本当に感謝)、そのような環境を得ることができない人もある程度おられると思うのでその点で自分は有利だったと思います。ただ、NAIST, JAIST共に先生か学生の方々に添削を依頼すれば基本的に引き受けて頂けると思いますし、自分もNAISTの研究室の方々には2度添削して頂きました。ありがとうございました。研究環境についてはNAIST, JAIST共に大学院全体の評判が高く、志望研究室も見学や面談を通じて良さそうだと感じました。強いて欠点を挙げるとしたら、特にJAISTは田舎すぎて周りに何もないのと、両方とも世間的な知名度が皆無というくらいだと思います。これはあったほうがいいものとは思いますが修士課程で研究をちゃんとしたいなら特に気にすることではないと思います。また、真面目に頑張っていれば就職に関しては全く心配することはないと思います。

受験する研究室がある場合は必ず希望研究室の先生に連絡を取ってください。これは他の大学院の話ですがまったく教員とコンタクトを取らずに出願した場合、試験と関係無く不合格になるという事例を見たことがありますし、そもそも外部から行くのにその研究室や先生のことを何も知らない状態で受験するのはあまりにリスクが高いですし、教員と学生のミスマッチはできる限り避けるべきだと思います

2022 3月

まず、希望研究室の先生とお話がしたかったので研究室見学を申し込みました。 本命はNAISTのほうでしたので、NAISTのほうは現地に赴いて研究室見学をして頂きました。 JAISTに関してはオンラインで数時間程度先生に面談して頂きました。 isw3.naist.jp www.jaist.ac.jp

2022 4月

B4となり研究室に配属されたので卒業研究のはじめとして論文を読む練習をしており、JAISTに関しては特に動いていませんでした。 併願していたNAISTの為にTOEICを4月末に受けました。4月末だと結果が来るのが5月末だったのでNAIST, JAIST共に例年6月頭頃にある出願に間に合うか少し怪しかったです(JAISTTOEICはありません)。NAISTにも出願される方は3月までにTOEICを受けるのをおすすめいたします。ちなみに750点でした。執筆時点でNAISTの結果はまだです。

5月

もうそろそろ小論文を書かないとまずいと思い書き始めました。結果としては小論文を書き始めるのが遅すぎました。小論文は卒業研究のテーマから派生させようと考えていたのですが、肝心の卒業研究テーマがなかなかこれといったものが決まらず非常に焦りました。なんとかテーマを設定し、書き始めました。NAISTにも併願しており、基本的な内容はNAISTJAISTと同じにしました。 NAISTは「卒論など学部時代の取り組み」と「NAISTでやりたい研究」の2つのテーマについてそれぞれの配分は自由で書き、様式はA4用紙2枚程度で図表有りに比べ、JAISTは「JAISTでやりた い研究」について書き、様式は1000字程度で図表無しなので、JAISTのほうが制限が厳しいです。まず、NAISTのほうを書き、自分の研究室の先生方に厳しいご指摘を頂きながら添削して頂き、形式、内容面を整えていきました。その後、JAISTのほうも書き、出願の際に小論文を提出しました。NAISTの出願はJAISTより後でしたのでギリギリまで修正を加えました。そして、無事に両方とも出願できました。 しかし、小論文の内容について、引き続き調べ続けたところ、単純な間違いから内容を変えたいところなどが見つかりましたが、JAISTは冒頭7分でプレゼンできるのでそこで挽回しようと考えました。

添削等について、B4の研究室の先生方がここまで協力して頂けたというのは本当に恵まれていたと思います。私の大学でも中には自大学への愛が強すぎるあまり外部院進を許さない先生の話も聞いていたり、個人の環境は様々だと思うのでNASIT, JAISTの先生や学生の方々を頼るなど上手く立ち回るしかないと思います。個人的な話ですが、授業である先生に「人に聞くのも一種の才能」と言わたことがあります。本当に困っているのに遠慮して助けを求められない人に対しては非常に良い言葉だと思いました。当然ですが、人間の礼儀として何でもかんでも人に聞くのではなく、最低限自分ができる範囲で努力を尽くす必要はもちろんあると思います。

6月

面接本番では冒頭7分で小論文の内容についてプレゼンテーションをする必要があるので、先生方のご協力の下その作成と練習に取り組みました。小論文は字数制限があったので4つあった参考文献(英語論文3本 + Ciscoの資料)を加えました。NAISTのほうはスペースに余裕があったので最初から小論文に参考文献を書きました。また、プレゼン練習で頂いた先生方のご指摘や過去の受験期ブログなどから想定質問集を作成してその回答を用意しました。

7月

7月3日(日)に面接本番でした。まず、冒頭7分でプレゼンテーションを行い、その後23分間、口頭試問が行われました。先生方は3名おられ、おそらく真ん中に希望していた研究室の先生、両脇にそれ以外の先生でした。まず、右の専門外の先生からプレゼン内容がよくわからなかったのと、早口だと指摘されてしまいました。小論文やプレゼンの内容については、かなり専門的な内容なので専門外の先生にわからないのは仕方ないと思いました。その後、忘れてしまったのですがかなり的外れな質問をされて逆に回答に困りましたが一応なんとなく回答しました。次に、左の先生から研究内容についてある程度答えにくいですがまっとうな質問が来ました。最後に真ん中の希望研究室の先生からも質問が来ましたがやけに長い前振りからの質問だったので時間稼ぎ?かと疑いましたが、そもそもこういうことで解決できないの?という感じの質問が来て回答に困りました。また、何故このような専門的な知識があるのかを聞かれ、現在セキュリティの研究室にいると答えました。次に、左の先生から専門用語を使わずに(プレゼン内容を)説明できないか?と聞かれましたが、どう考えても無理なので無理と回答しました。当時は正確性を欠くので無理と思ってしまったのですが、正確性を欠いてでもいいから専門外や素人の人にも分かる説明を期待されていたのだと思います。また、それのフォローかと思いますが、プレゼンで出した技術はどういうメリットがあるのかという質問の回答の中で使ったVLANというネットワークの用語について一般人でもわかるように説明しろと言われたので、ネットワークを物理的にではなく、仮想的に分けるのだと一応素人でもわかる範囲で説明しました("ネットワークを分ける"というかなり不正確な表現ですがそういう試問でしたので)。最後に、小論文の内容、特に実際に導入することを検討した場合の現実的な話について質問というよりアドバイスを頂きました。一瞬質問かと思って回答したのですが、アドバイスだったようです。 以上で口頭試問が終わりました。

口頭試問に関しては終始プレゼンと小論文に関することでした。エントリーシートに書く特異な専門科目(私の場合はネットワーク、セキュリティ、プログラミング言語)についての質問がよくあるという事前情報だったのですが、私の場合はほぼ質問がありませんでした。強いて言えばVLANですが、これは自分から口に出した単語なので事前に用意されていた試問ではないと思います。小論文の内容が専門的すぎたのでそこに関しては十分あるだろうという評価の元に質問されなかった、先生があまり現時点での知識量は気にしていない、質問する時間が無かったなど色々理由は推測はできますが正確なところはわかりません。

結果

合格していました。受験番号の振り方と合格者数を見る限り倍率は2倍弱だったと思います。 いくつかミスはしてしまいましたが、口頭試問中も私の回答に対して真ん中の希望研究室の先生がうんうんと頷いてくださっていたので、落ちているとはあまり思っていませんでした。 小論文、プレゼン、口頭試問の配点の比率等は不明ですが、きちんと先行研究や関連研究について英語論文も含めて調べ、その解決策、手法について十分に時間をかけて考え、調査する必要があると思います。ただ単に何かの分野の研究がしたいではダメだと思います。英語論文に関して私の場合は、10k円程度払って登録した情報処理学会デジタルライブラリに参考になる日本語論文がないので、英語論文だけで探す羽目になったのですが。

JAIST院試に関しては以上となります。今は本命であるNAISTの結果待ちなので何とも言えませんが、決してJAISTNAISTに劣るということではないのでそこは誤解の無いようにお願いしたいです。自分の個人的な事情などがあってのことなのであしからず。

2022/7/20 追記

NASIT合格していました

2022/10/25 追記

NAISTのほうに進学することを決めました